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ポリエステルが良いのはなぜ?登山に合うウェアの素材とその特徴を解説!

本格的な登山にこれから向かう男性

登山の楽しさを知ると、本格的な登山ウェアが欲しいと思う人は多いのではないでしょうか。そんなとき、デザインや機能性、防水性などが選ぶ基準になるケースが多くなりますよね。

一般的に登山経験者の間でインナーは「登山ウェアにはポリエステルなどの化学繊維の服が向いている」といわれています。しかし、なぜポリエステルが登山に向いていると評価されているのでしょうか。今回は、ポリエステルやその他の素材について、登山向きである理由とウェアを選ぶときのポイントについて解説していきます。

初心者向け登山ウェアについてはこちらの記事で紹介しています。

山登り初心者のための服装とは?基本の考え方や服の選び方をご紹介 はじめて登山に挑戦しようとしている方で、どんな服装でいくべきか迷ってしまいますよね。街歩きのような軽装は危険だし、かといってあまりに重装備だと出かける前から面倒になってしまうことも。そこで今回は、初心者にもわかりやすい登山服のノウハウをご紹介します。

登山ウェアにポリエステルが合うのはなぜか?

ポリエステルとは、インナーのシャツなどの一般的な洋服にも多く使われている合成繊維の一種です。そのポリエステルが登山に向いているといわれる理由には、主に3つの特徴が挙げられます。それでは特徴と登山に合う理由をそれぞれチェックしていきましょう。

理由1.汗を蒸発させる速乾性に優れているから

ポリエステルの独特な繊維形状と編み方は、「毛細管現象」を起こし水分を布全体に広げる特性があります。これによって水分が空気に触れる面積が増え、気化しやすくなります。冷たい汗は登山の天敵。汗をすぐに蒸発させるポリエステルは汗冷えや低体温症を防ぐのに最適なのです。

理由2.軽くて丈夫だから

本格的な登山をする場合、100gの重量差でも体力や体調に影響がある場合もあります。
ポリエステルはウェア素材の中では比較的軽量で、かつ熱や日光にも強く丈夫な素材なのでハードな登山には使い勝手が良い素材なのです。

理由3.薬品・カビ・害虫に耐性があるため長持ちする

ポリエステルは薬品耐性もそうですが、カビや害虫に対しても耐性があります。登山者の命を守るためにも登山ウェアは重要な役割を持っていますが、何度も買い替えたくはないですよね。丈夫で使い勝手もいいポリエステルですが、長持ちするという点でもメリットのある素材の一つになっています。

登山にもおすすめな機能繊維「ソロテックス」

帝人フロンティアの「ソロテックス」は、ポリエステルの仲間であるポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を使用した繊維です。
しなやかなバネのようならせん状の分子構造から、ストレッチ性、発色の良さ、ソフトなクッション性などの特性があります。
また、他の繊維とも複合しやすく、相手繊維の特性を活かしながら、新たな機能性を加えることが可能です。
こちらの記事では、ロッククライマーであるマイク・グラハム氏によって創業されたGramicciの「ソロテックス」を使った商品が多数紹介されています。
形態安定性やストレッチ性、加工により撥水性などを高めた「ソロテックス」はさまざまなアクティビティにおすすめの素材です。

ポリエステルはどこに使うと効果的?

登山向けの素材であるポリエステルですが、実際にウェアに取り入れるときにはちょっとしたコツがあります。登山ウェアの着用方法とポリエステルの特徴を活かせる使い方を見ていきましょう。

登山ウェアは重ね着(レイヤリング)が基本

登山では「レイヤリング」という考え方でウェアを選びます。簡単に説明すると、
  1. 汗を吸収して素早く乾かすベースレイヤー(インナー)
  2. 汗の蒸発・拡散の手伝いや保温を担うミドルレイヤー(中間着)
  3. 外部からの雨や風を防ぐアウターレイヤー
という3つの構造で重ね着を行う方法です。このレイヤリングによって体温調節を行い安全に登山を楽しむことができるのです。

速乾性を生かすならベースレイヤー(インナー)に使おう

ポリエステルの持つ速乾性を生かすなら、肌に直接触れるベースレイヤー(インナー)に使用しましょう。
肌に直接触れるベースレイヤーは、とにかく汗を素早く乾かして体温を一定に保ち、汗冷えを防ぐ機能が求められます。ポリエステルの汗を乾かす力こそ、ベースレイヤーに求められる強力な性能です。またドライウェアなどと組み合わせると汗が気にならなくなります。

体温を調節するミドルレイヤー(中間着)にも使える!

体温を調節するという大切な役割があるミドルレイヤー(中間着)。一方で、ベースレイヤーから蒸発した汗を外に逃がす通気性の良さも求められます。そんなときにオススメなのがポリエステル素材の服。動きやすく適度に暖かいフリースにはポリエステルが使用されていることが多くなっており、保温性の高いウールなどにポリエステルを合わせた混紡繊維などもオススメです。ウールが温かさを保ちつつ、ポリエステルの速乾性でベースレイヤーから発生する汗の水蒸気を外に逃がす、そんな素材の良いところを取り入れたミドルレイヤーもいいかもしれませんね。

下着にもポリエステルを取り入れよう

下着は肌に直接触れる面積が小さい衣服ですが、ここも見逃してはいけません。他の部分は乾いているのに下着だけ濡れているとそこから体温を奪われるだけではなく、不快感で登山に集中できないかもしれません。下着の場合、人によってポリエステル素材が合う、合わないなどはありますが、下着にも速乾性の高いポリエステルを利用して、快適な登山を楽しみましょう。

ポリエステルだけじゃない!登山に合う洋服の素材3選

ポリエステル以外にも登山に適した特徴を持つ素材はいくつかあります。
季節や状況に合わせてこれらの素材をうまく組み合わせてレイヤリングを決めましょう。

素材1.ナイロン

ナイロンは、防風・防水加工しやすい性質から、登山ウェアにも使用されているケースがあります。山の天気は変わりやすいもの。防風・防水性は必須となるため、登山ウェアにナイロン素材を意識してもいいかもしれません。

素材2.ウール

ウールは湿気を吸収して吸着熱を発生させる素材です。天然繊維ですが速乾性も適度にあるので、冬登山の肌着などに役立ちます。チクチクした肌触りが気になる場合は滑らかなメリノウールを着用しましょう。

登山には不向きなNG素材もある

素材の中には、登山にはオススメできないNG素材もあります。これらは着用することで登山の成功率を下げる、健康に影響するといった恐れがあるため、なるべく登山ウェアには使用しないでください。

乾きにくい素材は避けた方がいい

基本的に濡れた時に乾きにくい素材は登山ウェアに使用しないようにしましょう。汚れに強く動きやすいデニムパンツは一見登山向きですが、一度濡れるとなかなか乾かず体温を奪う恐れがあるので注意してください。

綿インナーは特に注意しよう

特に注意したいポイントは綿インナーの着用です。
綿は汗をよく吸収しますが、乾くまでに時間がかかり体温を下げやすいという特徴があります。冷えた汗の冷たさと気化熱による体温低下が長時間続くと、低体温症に陥り非常に危険な状況になります。登山時には綿素材のインナーや肌着は身につけないようにしましょう。

まとめ:正しいウェア選びで安全な登山を!

登山ウェアを選ぶときに重要視するポイントは、「吸水・速乾性」「保温性」そして「適度な軽さとストレッチ性」です。
今、繊維業界では既存の素材だけではなくさまざまな機能素材が開発されています。これから本格的に登山を始める人はもちろん、ウェアの買い替えを考えている経験者の人も、最新の素材をチェックして一番登山に適したウェアを探してみましょう。

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