祐真 朋樹

Tomoki Sukezane

Special Interview
2019.04.22 Mon

02. センスとは

 

最近の祐真さんの、ファッションの楽しみは何ですか?

 

“マイ・ビンテージ”。よく若い人に『祐真さんはビンテージには興味ないんですか?』って聞かれるんですが、僕のワードローブには30年以上分の服がある。すでにこれがビンテージなんですよね。それをちょっとずつ掘り起こしながら、今の気分に合わせていく、っていうのが最近のスタイルですね。今日履いているシルバノ・マッツァの靴もそう。当時一世風靡したこのスクエアトゥが何とも言えずいい感じ。それがまたこのリーバイス®エンジニアードジーンズ™のシルエットに合うんです。

 

 

確かに、そういう感じがまた今、新鮮ですよね。40代前半くらいのファッション好きの人だったら「その選択があったか!」という感じで刺さる提案だと思います。

 

先日もワードローブを整理していたら、25年くらい前にメイシーズで購入したナイキのナイロンパンツが出てきてね。当時はそれにCOMME des GARCONSのジャケットを合わせて着ていたんだけど、最近またそういう感じがリバイバルされて面白そうだなと思ったりね。

 

確かに。そう言う目の付け所とか、チョイスのセンスを磨く方法というのはあるのでしょうか?

 

センスを磨く。そうですね…。ベタな話ではありますけれど、まずはたくさんフィッティングすることが大事だと思います。それとやはり、隣で意見を言ってくれる人がいること。これもすごく大切。彼女でも、友人でも、親でも兄弟でもいい。『これどうかな?』と他人の意見を聞く。やっぱり自分が欲しいものと、人から見て似合うものっていうのは、ちょっと違う。ズレがあるものなんです。だから人の意見もちゃんと聞いて判断するっていうのはとても大事だと思います。

 

 

第三者の意見はやはり大事だと。

 

ただ、そうはいいつつも、本当は自分が素直に『着たい』と思ったものを着たいわけです。となるともう、他人の意見などおかまいなしに、着倒すしかない。考えられるありとあらゆる方法で着てみるしかない。そうすることで初めて、『なんかそれ、いいね』って他人に認められたり、あの人のスタイルは面白いよねって思われたり、そういうことが起きるんじゃないでしょうか。

そういう意味では、センスがいいとか悪いとか実は僕には正直わからないんです。語弊を恐れずにいえば、どっちでもいい。僕は僕しかいないわけだし、みんなそれぞれの感性があるわけです。“センスがいい”っていうのは一般論ですし、ある意味ざっくりとした平均値みたいなものですから。それが誰にでも通用するかどうかっていうのは、正直わからないですよね。

男性って外見だけじゃなく、生地とか作りとか生産背景とか、そういう細かいところも含めて価値を見出しがちです。ぱっと見だけじゃないんですよね。彼女に似合わないと言われたけど、やっぱりこの服が好き。そう思うのであれば、周りの意見に負けないでとことん着るしかない。まあこういうことを言っていると、あまりモテませんけどね(笑)。

 

祐真 朋樹Tomoki Sukezane
雑誌「POPEYE」でファッションエディターとしてのキャリアをスタート。その後スタイリスト、ファッションディレクターとして活躍。日本のファッションシーンを最前線で牽引してきた。パリとミラノのコレクション観覧歴は25年以上。自他ともに認める、モード・ファッションの伝道者。